無輸血治療 その5

セルセーバーというのは、術中回収式自己血輸血といって、

手術中に出血した血液をもう一度体内に還元させるシステム

である。これは高折益彦先生(エホバの証人ではない)が開発

されたものである。

詳しくは、「自己血輸血マニュアル(高折益彦著)」に書かれている。

このおかげで、心臓血管外科領域でも無輸血手術が可能となっている。

本当に感謝している。

 妻の手術は、午前0時から始まった。私は必死に祈るしかなかった。

午前3時すぎに、院長先生が手術室からでてこられ、「開腹してみて

びっくりしましたよ。脾臓が破裂していて、腎大静脈は15㎝ほどパンク

状態で、胃も三分の一程度、切れていました。術後血液は600㏄程

しか残っていません。」

「あとは、本人の宗教と頑張りだけですね。」

私は、真夜中にもかかわらず、手術をしてくださったことに感謝と感動を

覚えた。先生方の苦労に報いるためにも「なんとか、助かってほしい」

と、祈り続けた。